東北芸術文化学会

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「女性の幸せとは?(レオポルド美術館開催『ヴァリー・ノイツィル−エゴン・シーレとの生涯−展』より)」


「女性の幸せとは?(レオポルド美術館開催『ヴァリー・ノイツィル−エゴン・シーレとの生涯−展』より)」


エゴン・シーレ研究家 金田佳子氏




 ウイーンのレオポルド美術館で画家エゴン・シーレのモデルであったヴァルブルガ・ノイツィル(通称ヴァリー:1894年生〜1917年没)展が2015年9月7日まで開催されている。今まで当然のごとく画家であるシーレに焦点があてられた展覧会ばかりが開催されてきたが、画家のモデルについては稀である。

 ヴァリーとはどんな人であったのだろうか。モデル、シーレの付き人兼恋人、洋服店の売り子、シーレと別れた晩年は戦場の看護婦等を務めるなど、しっかり者で多才な人であったらしい。1915年にシーレが他の女性と結婚するまで唯一無二の存在であったことは間違いないだろう。青い目をし、かなりの美人でもあった。シーレと出会う前、巨匠グスタフ・クリムトの多くの中のモデルの一人でもあったらしい。実際にクリムトからモデルとして譲り受けられたことから、ヴァリーを愛していたシーレの心情を察するとすると穏やかではいられなかっただろう。

 ヴァリーは幸せだったのか? それともシーレと結婚できなかったことで不幸せだったのか? それは本人しかわからないと思う。

 シーレの名作の多くにヴァリーが描かれている。多くの女性がいる中で画家のミューズになれる人は少ない。しかも聖母マリアのように神々しく描かれる人は稀有に等しい。23歳で夭折したヴァリーはシーレ作のなかで永遠の命を授けられたといえるのではないだろうか。


(展覧会の詳細:http://www.leopoldmuseum.org/en/exhibitions/65/wally-neuzil)





ES-01

エゴン・シーレ「ヴァリー・ノイツィルの肖像」



ES-02

エゴン・シーレとヴァリー・ノイツィル



ES-03

エゴン・シーレ「枢機卿と尼僧」



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