東北芸術文化学会

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監査役 大木義則氏  『 「野焼き」を語る 』


監査役 大木義則氏  『 「野焼き」を語る 』


 野焼きとは、粘土で作った器を人の力によって焼き上げることです。
焼き上げた器は日常生活の煮炊き、食材の保存等に使用したりする、非常に大切なものでした。化学と発明を踏まえて野焼きを行った、縄文人の知恵と文化は我々が想像する以上に進んでいたと思われます。



1.炙 (あぶ)り


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 土器を台の上に並べたら炙 (あぶ)りを開始します。炙りは3回行いますが、1回目は土器を立てて、火に向けて炙ります。2回目は180度向きを変え背中を炙り、3回目は土器を倒して底を炙ります。この炙りは土器の中にある水分を抜くための大事な仕事です。



2.第一次攻めの準備


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 炙りが終わったら熾(おき・薪などの燃えさし)を広げ、土器を中心から積み始めますが、この時、土器の口は外側に向くようにして、積むのがポイントです。急激な火力によって底が取れるのを防ぐためです。熾は消さないようにドーナッツ状に広げます。



3.第一次攻め


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 土器のまわりにドーナッツ状に広げた熾 (おき)の上に材木を置いて、自然発火をさせ全体に火が廻るようにします。火力は徐々に高くしていきます。1時間から2時間くらいです。積んである土器が、全体的に焼けた黒っぽい色になるくらいまで、風向きを注意しながら行います。最初の1時間くらいは、炙りが土器に触れないくらいがよい。



4.第一次攻め後半


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 第一次攻めが後半に入ったら、廻りに熾(おき・薪などの燃えさし)がかなりできるので、集めた材木で柄の長いトンボを作ります (トンボの用意があれば、それでよい)。熾を押して土器に近付けていきます。土器に被ってもよいので、円を少しずつ小さくしながら攻めやすくします。



5.攻め


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 第一次攻めが終わったら、端の長いあまり重くない棒を選んで端から掛け始め、全体的に掛ける。材木が土器に当たらないように、隙間なく掛け続ける。ある程度掛けたらストップして、少なくなり始めたら、また材木を掛ける。3回くらい繰り返すと、土器が真っ赤になっているのが見える。後は沈火するので、土器が出てくるのを待っていればよい。



6.仕上げ


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 沈火して土器が出てきましたが、熾(おき・薪などの燃えさし)が大分残っているため、熱くて近寄れません。さらに沈火するのを待ちます。沈火した後は長い棒で、土器の口に差し込み腰を落として、土器を持ち上げ取り出します。学校によっては、翌朝取り出すこともあります。




 


※追記 800度から1000度前後の温度で焼くので、ダイオキシンは出ても極微量であり、人体にはほとんど影響ありません。


 


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